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藤原信二の今日の一言
イントラネット事情 in U.S.A.(16)---まず人のことを考えよう---
2005年8月
text by 藤原信二(代表取締役)
今月のテーマは「現状のグループウェアを見直しませんか」ということです。米国はイントラネットがHTMLの静的ドキュメントをCMS(コンテンツ管理システム)によって運用されているケースが多く、「見直す」といった場合は、CMSベースのイントラネットからEIP(企業ポータル)への移行というような話題が多いため、日本のようなWEBグループウェア全盛の環境とかなり異なっています。「見直す」といった場合よく話題に上がるのが、イントラネットに対する視点を「システム指向」から「人間指向」に見直しましょう、というテーマです。
最近読んだレポートでは、Paul
Chin氏のものがありますが、とても示唆に富んでいる内容で日本でも大いに参考になると思いますのでここにその概要を書いてみます。
《以下概略》 知識共有はとても直感的なものである。私たちが何か知ろうとする場合、その知識を最も心地よく入手できる相手に向かう。このようなインフォーマルなネットワークで私たちの知識は積み重ねられ、また他の人にも受け継がれていく。このように知識共有は大部分がルースで主観的なものである。このようにインフォーマルな形で同僚や顧客から得ていた知識をフォーマルな形に落とし込むのは簡単なことではない。
このような問題に対処し知識共有を成功させるためには技術、プロセス、文化の3つのハードルがある。
●技術:知識共有をサポートするメディア この三つのうち最初の技術はもっともハードルが低い。他の二つと違いテクノロジーは具体的な要素であり、ある意味コントロールと予測が可能だからだ。
●プロセス:ビジネスプロセス指向のゴールの定義 知識管理は組織内で一般的な目的(例えばE-Mail)のために使われているか、ある特定の目的のために使われているかのどちらかである。両者とも求める結果(知識共有システム)は同じであっても、ユーザーコミュニティ内での受け入れられかたは非常に異なっている。
ユーザーがシステムをどのように考えているかで成否が分かれる。多くの知識共有システムやイントラネットが失敗するのは明示的なビジネスプロセス上のゴールがないためである。多くの社員ははっきりしたゴール、例えば「会社内のコラボレーションを改善する」とか「部門内で情報を共有する」といった具体的な目的がないとエキサイトしない。
●文化:組織のマインドセットを理解すること 知識共有のメディアを考える前に、社員と組織の文化についてしっかりと理解していなければならない。もともと個人間での知識共有の文化がない組織はこれを技術で変化させることはできない。実際このような共有文化が育っていない組織ではテクノロジーはさらに問題を悪化させることになりかねない。
知識共有はテクノロジーよりさらに深いレベルで、しっかりした基盤の上ではじめて生きるのもだ。
では、どのようなネガティブな心理的ファクターや態度が知識共有の文化を脅威に曝すだろうか?
*ジョブセキュリティ:あるトピックについて自分が唯一の知識所有者であるという意識やあるタスクが行える唯一の人であるということ *個人的に優位に立つこと:知識を使って個人的な優位を保とうとすること *過度な競争心 *力としての知識:知識を知れば知るほど必要な人と思われるという心理 *認められていない怖れ *過度な責任感:誰かが貴方の知識を間違って使うかもしれないという怖れ *孤立:他の人の知識を拒む態度 *力不足と思われないかという怖れ:自分が知識がないと人に思われないだろうかという恐怖 *非協力的な知識所有者:自分の仕事を邪魔されたくないという心理 *時間の無駄:知識共有は他人のためで、自分のためでないと思う利己的な心
■どのようにして知識共有を促進するか
社員の行動や文化を変化させる特効薬はない。コンピュータプログラムのようには行かない。この問題を解決するためには特定の個人やグループがなぜ知識共有を進めないかを知る必要がある。そして重要なことはインフラ的な問題(十分な時間がない、適切ではないツール、コンテントの欠如)と心理的、行動的な問題とを切り分けることだ。
協力的な空気を醸成し知識共有を促進する手立てはたくさんある。
*知識共有に参加したがらない社員に外交的な手法で(対立的な態度は出さずに)アプローチし、参加するためにはどうしたらよいかを一緒に考える。 *決して、やれ!さもなければ…的な態度では臨まないこと。さらに殻に閉じ込めることになる。 *個人的な相談センターを設け、個々の知識所有者が孤独にならないようにする。 *キーとなる知識提供者を紹介するコーナーを設けることでシステムの背後で動いていることを伝える。 *モニタリングプログラムを設け、とまどっている新しい参加者に参加しやすくする。知識のベテランに頼れることを説明し、そうすることで将来彼ら自身がメンターになることにつながる。 *例でリードする。他の知識共有の例を知ることで知識保有者は積極性が増す。彼らが参加すればするほど他の社員も参加するようになる。 *貢献者を認めることで、彼らの努力が報われさらに促進する。「今月の貢献者」など。
あるいは企業専門の心理学専門家に相談する手もある。 しかし、一夜ですべてが変化すると期待しないこと。この変化はひとつのレベルでは起こらない。態度の変化は、一人の社員の変化、プロジェクト内での変化、ワークグループの変化、部内の変化、会社全体の変化というレベルで段階的に起こる。
原文:http://www.intranetjournal.com/articles/200502/ij_02_22_05b.html
以上、概略ですが、参考になれば幸いです。 |