「民主化するイノベーションの時代」を読んで思うこと

「民主化するイノベーションの時代」という本が話題になっています。エリック・フォン・ピッペルというMITの教授が執筆したこの本は最近読んだ中ではとても大きなインパクトがありました。私なりの解釈で概要を書くと...

イノベーションはかつてメーカー主導で行われてきたが、その主役はユーザーに移行しつつある。特に機能的な性能向上はユーザーがイノベーションの開発者である場合が82%という統計が出ている。このような背景には、まず、ユーザーのニーズの多様化にメーカーが追いついていないとう事実がある。というのは先端的なユーザーのニーズは必ずしもマジョリティを代表するものでなく、それを製品に取り組むことは直近の販売に結びつかないからだ。しかし、これらのニーズはやがてマジョリティの求めるものとなっていくものが多い。うまくユーザー主導のイノベーションを取り入れ成功しているメーカは、メーカーも含めたコミュニティを上手に利用している。

というものです。この本を読み感じたことは、リンコム ネクストの事業と密接に関連した考え方ではないかということです。まず、リンコム ネクスト事業はソースを公開しているためユーザー開発のイノベーションを触発するツールという側面があります。次に昨年オープンした「リンコム ネクスト・総合情報ポータル」(ユーザーポータル)はまさに、コミュニティサイトに育つベースとなるものです。ユーザーポータルはもともと最終形としてユーザー参加型のコミュニティサイトへ進化させるべく開設しましたが、その中で、ユーザーの皆様が開発したアプリケーションや様々なコンポーネントを共有したり、またアーリーステージのニーズを吸い上げて製品開発に生かて行く場に育てていきたいと思います。

この本の内容もそうですが、世界経済全体が歴史的な大きな変革を遂げている最中のように感じます。印刷の発明がきっかけとして爆発的な進化を遂げた科学技術の時代は産業革命をもたらし、その結果として生まれた鉄道が世界観を変え世界経済の新しいベース作ってきました。時代は進み、数十年前に実用化したコンピュータはずっと後になってインターネットを生み、今までとまったく異なった世界観が新たな企業のあり方を求めているように感じます。この変化を意識し根本的なプロセスとして取り入れた企業が21世紀の初頭をリードしていく、そんな思いを強く抱いています。

(この記事は、過去に配信されたリンコム通信のバックナンバーです)

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