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RIA-UI道場
経験者は語る!ペルソナづくりで陥りやすい過ち
2007年2月
text by 伊良波朝賞(製品開発部)
【リンコムがペルソナ・シナリオ法を活用しようと思った背景】 まず初めに、なぜリンコムがペルソナ・シナリオ法を製品開発の手法として活用しようと考えたのか、これまで実際に自社製品を開発してきた実情などを踏まえながら、より現実的で具体的な話をしていきたいと思います。これまでにも何度かお伝えしてきましたが、RIAの技術を利用するとこれまでのHTMLベースとは違って自由度が高く、したがってユーザビリティの高い製品を開発できると考えられます。しかし、製品を実際に利用するユーザーの顔がちゃんと分かっていて、しかもユーザーが本当に使いやすいと実感できる製品の開発プロセスが確立できているかというと、なかなかそうはいかないのが現状です。リンコムでは毎年、顧客満足度調査を行っており、お客様の生の声を製品開発に反映してきました。調査の結果は、使いにくい点や機能追加の要望リストといったフィードバックの形で上がってきます。しかし、いざ要望を製品に反映しようとすると、様々な問題が起こってきます。例えば、次のような問題です。
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具体的にどういった場面で利用されているか詳細に把握できない場合が多い。ユーザーがなぜその機能を必要としているのか、業務と具体的にどのように関連しており、ユーザーの抱える根本的なフラストレーションは何か、といった根本的でしかも重要な事柄は資料に記載されないことが多く、実際に製品を使うユーザーに聞く機会もほとんど無い。
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機能要望が把握できると、今度は誰かが操作デザインを担当します。多くの場合、操作デザインは仕様検討の中に含まれ、しかも担当者はユーザーと直接話をすることがない開発者であることが多いのです。
その結果、バージョンアップはほとんどが機能追加になります。本当にユーザーを知った上で、ユーザーのためにデザインしているのか、という問いかけには十分に応えていないのが実情でした。
そこで、製品開発のメソドロジーを探しているうちに、アラン・クーパー氏の提唱するペルソナ・シナリオ法と出会ったのでした。ペルソナ・シナリオ法を糸口にすれば、ユーザーの目的にあった、ユーザビリティの高い製品を開発できると感じました。
【陥りやすい過ち】 まずやってみようということになり、アラン・クーパー氏著書の「コンピュータは、むずかしすぎて使えない!」やネットで調べたことをお手本に、ペルソナをつくってみました。しかし、実際にやって見るといろいろとうまくいかないことが多いのです。「ペルソナは実在の人物と思うくらいに、なるべく詳細に記載するほうがよい」とのことで、ペルソナの「名前」「年齢」「性別」「役職」「趣味」「仕事におけるモットー」などのプロフィールを書き綴っていきました。ところが、細かく書いても、どこまで書けばいいのか、また、細かな記述がはたして本当に製品開発に役立つのか疑問が湧いてくるのでした。例えば、営業部係長の金田さんのプロフィールは「3人の部下を持ちながらも自分で大口顧客を20件持っている。入社後すぐに営業部に配属された。3年後くらいから頭角を現し、同期のなかでも早く係長に昨年昇進した。いわゆるやり手。・・・」といった具合です。
製品との関連が見えてこない記述が多くなればなるほど、結局ウソっぽい感じがして、読んでいてもつまらない薄っぺらな創作物ができあがるのです。多分、いきなりペルソナを書いた経験をお持ちの方はそう感じる人も多いはずです。
【なぜうまくいかなかったか?】 ここで大事なポイントです。
基本に立ち返って気づいたこと、それは、一体ペルソナとは何かということでした。ペルソナとは何でしょう?それは
「共通のゴールを持った大勢のユーザーの代表である」
ということです。つまり、ペルソナを創り上げていく過程では、ユーザーのゴールを突き止めることが何より大事なのです。ペルソナは固有のゴールを見つけるために創り出しているといっても過言ではありません。そして、ゴールを突き止めるためには、ユーザー調査をしなければ実際のユーザーの抱える問題や製品開発のヒントは見えてきません。だから、どんなに一生懸命頭をひねってペルソナのプロフィールを考えても、製品開発に本当に役立つかどうか確信が持てなかったのです。机上で勝手に創作して作り上げようとしたペルソナでは、説得力がなかったのです。ペルソナ・シナリオの表面的な手法に目がいってしまったためにうまくいかなかったのでした。
では、共通のゴールとは何でしょう?ゴールについては前回のリンコム通信で触れていますので、是非ご参照ください。共通ゴールはどのように発見するか?具体的にペルソナはどう作り上げて、何を記述すればよいのか、次回はいよいよ核心にせまってみたいと思います。
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