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RIA-UI道場
グラフィカルなインターフェースはイディオム的
2010年3月
text by 伊良波朝賞(リンコムネクスト事業部)
今回はペルソナ/シナリオ法を提唱するアランクーパー氏の著書About Face3の中から「グラフィカルなインターフェースはイディオム的」というトピックについて触れてみたいと思います。
この時期、猫の手も借りたいくらいの方もいらっしゃるとおもいますが、このメルマガでどうぞ一服なさってください。イディオムはパーツ(単語)の組み合わせが独自の意味を持ち、しかも「猫の手を借りたい」のようにユニークでおなじみのイディオムはたった一度どこかで聞いただけで2度と忘れることはないでしょう。学習が容易なグラフィカルなインターフェースもイディオムと同様であるとクーパー氏は言っています。
■イディオム的なインターフェース
イディオム的とは、技術的な知識や直感に頼らなくても、一度使い方を覚えると無理なく使いこなせるということです。記憶のはるかかなたかもしれませんが、例えば、マウスを初めて使うことを考えてみたいと思います。マウス自体は何も訴えかけてきません。また、マウスが何であるか、一瞥しただけでその用途を直感的に理解することも無理がありそうです。しかし、動かした方向にポインタが連動して動くことを一度理解すると、次回からはやすやすと使いこなすことができます。
■グラフィカルなインターフェースはイディオム的
「ドロップダウン」は一般的なデザインのパーツで、ボタンとメニューから構成されています。リンクをクリックする程シンプルな操作ではありませんが、一連の操作を一度経験すると、次回からはこの機能をどう使えばよいか容易に推察できます。「パンくず」は、並んだハイパーリンクから構成されていますが、ナビゲーションバー付近にあると、それが「ページの階層」を表現したナビゲーションであることを瞬時に理解します。
リンコムネクストの「掲示板」や「ファイルライブラリ」はフォルダの階層を「ツリー」を使って表現しています。リンコムネクスト2.7以前のバージョンでは、フォルダをクリックすると下位のフォルダを展開して表示していました。フォルダを直接クリックすることは「見たものをポイントする」というインターフェースデザインの基本的なパターンに則っていますが、次のような問題がありました。
1.フォルダの下に階層があるかどうか、見た目で判断できない。
2.フォルダを「クリック」する操作は「下位の階層のフォルダを表示する」動作と、「フォルダ内のファイルを表示する」という2つの意味を持っていた。そのため、階層が深く、フォルダ構成が複雑な場合、意図しない結果によって混乱を招くおそれがあった。(フォルダの中のファイルが見たかっただけなのに、下位のフォルダが閉じちゃった!開くにはまたクリックしなきゃ。といったことが起こる)
リンコムネクスト3.0以降、ツリー表示の部分はFlexの標準コンポーネントを利用しています。フォルダの開閉は横に配置した三角(▲)の形をしたボタンで行いますが、これまでのようにフォルダをクリックしても下位の階層は開きません。以前と操作方法が異なるため、ユーザーが戸惑うことが懸念されます。
ちなみに、スタンダード的存在であるWindowsのエクスプローラは、フォルダオプションの設定で、クリック(またはダブルクリック)すると下位の階層が開くように設定できますので、この操作に慣れているとやはりFlexのツリーを使うときには一瞬戸惑うことが懸念されます。Windows Vistaからはエクスプローラのインターフェースが変わり、フォルダ横の三角ボタンを押すとフォルダが開閉するようになったとはいえ、普段このボタンを使っていないと気づかないおそれがあります。
そこで「グラフィカルなインターフェースはイディオム的」という考え方を当てはめて考えてみたいと思います。初めこそ、Flexのツリーコンポーネントへのインターフェースの変更に抵抗を示すお客様もいらっしゃいましたが、「やっぱりとても使いにくいのでカスタマイズして元に戻した」という話を聞くことはありません。決して言い訳をするつもりはありませんが、ツリーコンポーネントにちょっとした工夫をしており、「イディオム的」な使いやすさを目指しているのです。具体的には、「掲示板」「ファイルライブラリ」ともアプリケーションへアクセスしたときに第一階層まで開いて表示しており、一見同じように見えるのですが、三角のボタンの形状が違うのです。
・フォルダが開いているときは三角の先が下向きに、閉じている時は横向きになっていることを最初から示しており、少し触るとその違いに気がつくようになっている
・下位にフォルダがない場合は三角のボタンが表示されないため、ひと目で判断できるようになっている(これは標準的な仕様です)
リンコムネクストはこれからも進化し続けていきます。その過程でこれまでと操作が変わることや、エクスプローラのような「スタンダード」との操作感が異なることの問題は大きいとおもいます。しかし、「慣れ親しんだイディオム」のように一度使ってみたら次からは問題なく利用できそうか、という視点での評価をぜひお願いしたいと思います。
ペルソナ・シナリオ法、UIデザインについての過去の記事一覧
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