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RIA-UI道場
たったひとりのペルソナのために
2007年4月
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by 伊良波朝賞(製品開発部)
前回は、ペルソナのつくり方についてお届けしました。つくり方の過程や記述する内容、そしてその際のポイントをいくつか上げました。しかし、こうして浮かび上がってきたペルソナは1人だけではなさそうです。そうなると、今度は、一体ペルソナは何人くらいになるのか? ペルソナ同士は衝突するのではないか? もし、ペルソナのニーズがぶつかった場合の調整はどうするのか?折衷案にするの?といった疑問が次々と湧いてくるでしょう。今回はそういった疑問を解決していきたいと思います。
【主要ペルソナ】
まずペルソナは複数になるのか?という疑問ですが、ヒアリング結果のパターンを分析すると、たいていの場合は数名から十数名のペルソナが登場するといわれています。ペルソナの数が百名以上になったという話も聞いたことがありますが、このような極端な場合は製品を分けるなどすべきでしょう。具体的なヒアリングの内容などのペルソナ作成についての詳細は前回の記事をご参照ください。
連載第3回 ペルソナづくりの4つのポイント
それでは、ペルソナ間の調整はどうすればいいか。ペルソナ間でニーズの衝突があった場合はどうすればよいのか?ペルソナのニーズは全て満たすべきなのでしょうか?これら諸問題を解決する必要がでてきます。これらの問題を解決するのが「主要ペルソナ」という考え方です。主要ペルソナとは、ペルソナの1人であり、次のような特徴のうちのいくつかを持ちます。
1.
他のペルソナと比べて、利用する製品やアプリケーションに対して特に際立ったニーズがある 2.
他のペルソナのために製品やアプリケーションをデザインした場合、主要ペルソナは決して満足しない 3.
対して、主要ペルソナのために製品やアプリケーションをデザインした場合、他のペルソナは満足する、または特に不満を持つことはない 4.
主要ペルソナは他のペルソナに比べて、製品やアプリケーションを頻繁に利用する 5.
主要ペルソナは他のペルソナに比べて、製品やアプリケーションに対する重要度が高い
そして、製品やアプリケーションはこの主要ペルソナのためだけにデザインするのです。なぜならば全てのペルソナ向けに開発された製品は結局誰にとっても中途半端な製品になってしまうからです。ユーザーをセグメントに分けて対象を絞り込む手法ともよく似ています。ここで誤解してならないのが、主要ペルソナのためだけに開発するからといって、決して他のペルソナにとって全く使えないものであってはならない、ということです。他のペルソナにとっても問題なく使えつつ、主要ペルソナにとっては最も使いやすい製品であることが肝心です。例えば、掲示板のシステムでは、主要ペルソナは記事を書いて公開するだけではなく、何か書類の提出を依頼するといったことがあるかもしれません。そのためには、記事を登録する、という機能だけでなく、書類提出の締め切りを設定して、その締め切りを守ってもらうような仕掛けがあると格段に便利になるでしょう。もちろん主要ペルソナ以外のペルソナにとっても記事を登録できる機能がありますので、利用する際に特に差しつかえはありません。
ちなみにたった一人のペルソナのためだけにデザインするのですが、このペルソナ自体が共通のゴールを持った多くのユーザーを代表していますので、本当にある個人1人のためにデザインする、ということではありませんのでご心配なく。
【主要ペルソナ以外のペルソナ】 先ほどペルソナは数人から十数人登場する、という話をしました。このペルソナによって構成される集団が「キャスト」です。キャストの中には、主要ペルソナ以外に次のようなペルソナが存在します。
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負のペルソナ 主要ペルソナと正反対の存在です。このペルソナのために製品のデザインをすることは決してありません。不要な機能の判断や機能のトレードオフをする場合に欠かせない存在です。
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購買者のペルソナ ユーザーのペルソナではなく、製品を購入するときの意思決定に携わる人のペルソナです。このペルソナは商談のときに直接の窓口になりますので、この購買者のペルソナに対して製品をアピールしがちですが、主要ペルソナになることができるのはあくまでユーザーですので、購買者のペルソナのためにデザインすることがないように注意が必要です。
主要ペルソナ以外のペルソナを明らかにするのには重要な意味があります。まず1つには、主要ペルソナ以外の視点でデザインを検証する、ということです。主要ペルソナのためのデザインをこんどは他のペルソナが使ってみて大丈夫かどうかを検証するのです。また、主要ペルソナ以外のペルソナを明らかにしておくことによって、主要ペルソナの妥当性を高めることができます。つまり、主要ペルソナは本当にこの人でいいの?という疑問に対して、これだけのペルソナが存在して、その中でこの人だけが主要ペルソナになりえるのです!という確からしさを示すことができます。
今回は、大勢のペルソナの中で主要ペルソナの重要性について見てきました。それでは、次回はペルソナがどれほど役に立つかについてふれてみたいと思います。
連載第3回 ペルソナづくりの4つのポイント 連載第2回 経験者は語る!ペルソナづくりで陥りやすい過ち 連載第1回 ペルソナ・シナリオ法 「ゴールと仕事」について
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