「顧客の立場で」考える

「顧客の為に」ではなく「顧客の立場で」とは、セブンイレブンジャパン会長鈴木敏文氏が、常に言われている言葉だそうです。

「顧客の為に」では、自分の経験をもとに「顧客とはこういうものだ」という決め付けをしてしまい、うまくいかなかった場合など「顧客の為に」やっているのにという売り手側の都合が無意識に入ってしまう。

逆に「顧客の立場で」となると、今までの自分の経験をいったん否定しなければならないため、より顧客の視点に近づき真のニーズが見えてくるそうです。

通常、あまりこれらの違いを意識せずに使用してしまい、両方とも同じ意味のように受け取られる表現ではあるのですが、非常に重要なことを言われていると感じました。
これが、コンビニ業界をリードされているセブンイレブンの強みなのだと思います。

また、この考えは決してコンビニ業界だけの話ではなく、全てのビジネスに当てはまることではないかと思います。

特に、技術主導型で成長してきたソフトウェア業界に於いては、これから益々注目しなければならない視点だと思います。人はどうしても無意識に自分がおかれている立場にたって物事を考えてしまいます。プログラマーはプログラマーの立場にたって判断していますが、一端「顧客の立場で」考えることが新しい革新的な製品作りには不可欠なものと思われます。

弊社でも次期リンコムネクストの開発に向けて、顧客の立場に立った製品作りというものを第一目標に掲げ色々と模索しております。しかし、顧客の立場に立った製品作りと言っても、具体的にどうしたら良いのか、ましてや社員一人一人にこの様な考え方を浸透させることは非常に難しいもです。

そこで、弊社ではモノ作りのステップに「顧客の立場で」考える仕組みを組み込んでしまおうと考えています。
通常、製品を開発する場合(特に製品のバージョンアップでは)、顧客の要件をヒアリングし、集められた多くのご要望から製品に取り込む機能を取捨選択します。
その際、色々な考えや思惑が入り交じり取捨選択を行いますが、作り手の立場が勝てば決して良い製品は作れません。逆に、顧客の立場で取捨選択されれば市場に受け入れやすい革新的な製品ができるのではないかと思います。

そう言った意味でも、製品を開発する上で取捨選択のプロセスが非常に重要になって来ており、この点をなんとか顧客の立場にたってできる仕組み作りに挑戦をしております。

弊社も今までは技術主導が強かったため、本格的な取り組みは始まったばかりですが、この第一歩が顧客に受け入れて頂けるものになるよう努力して行きたいと考えております。

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